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統合失調症と認知症の違い

2020/01/31
統合失調症について 0


   
 統合失調症の陽性症状は、中重度認知症によく似ています。いまだ精神医学が進歩していない頃、統合失調症は「早期性痴呆」などと呼ばれており若い頃に発症する痴呆症の一種であると誤認されていた時期もありました。

 つまりはそれほど似ている部分があるわけです。発症する病巣としての脳のメカニズムは明白に異なります。認知症は脳の萎縮による機能低下に起因。統合失調症は萎縮や老化の伴わない脳の機能不全です。

 以下、二つの病気の共通的な症状をいくつか取り上げていきます。

(亡失の誤認及び被害妄想)
 
 統合失調症と認知症を比較して、共通症状ともいえる程最も似ている部分は妄想です。

 例えば、「物盗られ妄想」です。認知症の人にとって物がなくなるというのは日常茶飯事です。脳の機能低下のために短期記憶が弱まるために、何処にしまったか忘れてしまっているからです。そのような物を自らの手でどこかに亡くしたという事実に対して、亡くしたのではなく、人に「盗まれた」と感じるのです。

 そして、多くの場合、盗んだ犯人に、一緒に暮らしている家族に対して疑いをもちます。認知症の患者さんにとって最も身近で自分の者を盗みやすい環境にある家族が盗んだのだと思い込んでしまうのです。

 認知症でも統合失調症の被害妄想に酷似した被害妄想があります。

 例えば、「自分は監視されている」という妄想を持った場合、多くは自分の家族が自分の部屋に隠しカメラを設置しているのではないかという妄想をもつようになります。

 「自分の情報が漏れている」などという些細な動機から「自分が監視されているはずだ」という妄想に誇大的に考えてしまうという側面がよく似ています。原則、統合失調症の患者さんの場合は脳機能の低下というものではないので、普通の年相応の健常者と同じような記憶力をもち、認知症のように物事を忘れるという事はありません。

 ただし、例外的に薬とお酒を併用して使った場合、記憶がなくなるような組合せもありますので、そうした組合せの場合、「物盗られ妄想」のような妄想へ発展してしまう可能性もあります。
お酒を飲む方が、飲み過ぎて際記憶を失くす事があります。酔いが覚めた時に、財布の中身が少なくなっていたり、テレビがつけっぱなしになっていたり、お酒が入ったコップがそのままにしてあったり、なんでこんな事をしたのだろうという痕跡が残っています。

 そうしたものは、普通ならばお酒のせいだと考えるのですが、「誰かが部屋を荒らした」と妄想的に考えてしまうのが、統合失調症の特性です。

 その他に「いじめられる」、「嫌われている」などの被害妄想があります。これは統合失調症と同じですね。ただ、認知症の場合、本能的に会話をしているため、被害妄想を言葉に出す事が多いのですが、統合失調症の場合は強い被害妄想を言葉に出さず溜め込んでしまう傾向にあります。

 その結果、反撃に出て、結果的に何の脈絡もない犯罪行為につながってしまうケースが残念ながら多々あります。この点において、統合失調症の患者さんが健常者と同じように社会生活を送ることや病気に対する偏見を無くせないことの原因があるのだと考えられています。

(嫉妬妄想)

 これも認知症及び統合失調症共通です。
自分の配偶者や家族に向かって他人のように振る舞う事はよくあります。自分の配偶者や家族が分からなくなってしまうのです。

 統合失調症でも錯乱状態になっているときは、そうした傾向があります。そこにいるはずのない既に亡くなった人、見知らぬ人が「そこに居る」と思い込んだりする妄想もあります。

 これは幽霊のようなものなのですが、統合失調症の人は幽霊が見えるという人が多いです。これは認知症の妄想と同じく、飽くまで妄想が生み出した産物なのです。

(感情の抑制が効かない)

 認知症の人は、精神安定剤を使用している人が多くいます。認知症にはイライラを抑え込めない人も多くおり、そうした感情の抑制が効かないところは、統合失調症にも似たようなところがあります。

 認知症の方は特にイライラを抑える薬を飲んでいる事が多いです。ベンゾチアゼピん系の安定剤又は漢方の抑肝散などは代表的なものです。

 こうしたイライラは、感情をコントロールする事が難しいという面で統合失調症と一致しています。

 上記のように統合失調症と認知症には似たような症状が幾つもあります。

 ただ、決定的な違いである「忘却」は統合失調症に含まれていませんので、間違う事はないはずです。二つの病気を識別する上でのポイントとして忘却する事項の多寡は大きな判断基準になります。

 しかし、原因が異なる二つの病気に、酷似した症状が出るのは非常に興味深い事です。

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内山田 宏
Author: 内山田 宏
認定心理士

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