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(その2)最新の催眠療法のうつ病治療への応用

2019/11/12
認知行動療法について 0
昨日の続きになります。
催眠療法を用いた認知行動療法の応用で、トラウマを解消することの実践編です。
実例があったので、割愛して要点をサマリーしましたので、多少読みやすくなったかと思います。(読了2分)
Aさんに生じた原因不明の体の変調
~トラウマと深い関わり~
原因が分からず、なかなか治らなかった体の痛みや、うつの症状。トラウマに焦点を当てた治療で、こうした症状から回復する人が相次いでいます。
Aさんは、10年前、精神科でうつ病と診断され、抗うつ薬を使った治療を、5年間にわたり、続けました。しかし頭痛は治まらず、うつの状態も悪化。ついには、仕事に行くこともできなくなりました。
医師の勧めで、Aさんは、あるクリニックを受診。担当の臨床心理士が、Aさんが育った環境について、聞き取りを行いました。記憶をたどるうちに、子どものころに、過酷な虐待を受けていたことが浮かび上がってきました。
Aさん
「なんか知らんけど、(父親に)包丁突きつけられた…腹に。すごい怒られて、たたかれて、日常茶飯事だった。」幼いころ、実の父親から、繰り返し暴力を受けていて恐怖のあまり、抵抗もできなかった体験が、深いトラウマになっていたのです。
トラウマからの解放)トラウマを抱えている人は、その体験を思い出した時、感情をつかさどる右脳が興奮状態になる一方、記憶を処理する左脳の活動が低下。
脳の活動がアンバランスになり、心と体に異常をきたします。トラウマによって起きる問題への対処法として、最も広く行われてきたのが“認知行動療法”です。
患者は、つらい体験から、物事を悲観的に捉えがちになっています。そこで、認知行動療法では、カウンセリングなどを通じて、脳の活動にバランスを取り戻し、トラウマが問題につながらないよう導きます。
(認知行動療法自体は珍しいものではなく、今や精神科においては一般的なら治療です。) しかし今回、このクリニックでは、認知行動療法に加え、“EMDR”という方法で治療にあたりました。
トラウマとなっている、つらい記憶を心に思い浮かべながら、指の動きや機械の光の動きを追い、目を左右交互に動かします。脳に左右交互の刺激を与えると、右脳の興奮状態や、左脳の機能低下が和らぎます。そのため、比較的早く、バランスの取れた状態を取り戻し、トラウマを解消できると考えられています。
WHO=世界保健機関も今年、EMDRを、患者の負担が最も少ないトラウマ治療の方法として推奨しました。EMDRによるトラウマ治療を始めたアスカさん。父親による暴力の記憶を一つ一つたどっては、トラウマを取り除くという作業を繰り返していきました。そして、治療が始まって3か月目。
ついに、最も深刻なトラウマを生み出した出来事に突き当たります。
Aさんは
「(猫は)私のこと恨んでないかなぁ…。
助けて、って。」
それは、17歳の時のこと。かわいがっていた飼い猫を、父親が突然、捨てると言い出した時の記憶でした。父親の暴力におびえて暮らすアスカさんにとって、猫はただ1つ心を許せる存在でした。しかし、アスカさんは、父親への恐怖から止めることができませんでした。心の奥底で、アスカさんは猫を守れなかった自分を、今なお責め続けていたのです。
Aさん
「分かってて、止められなかった自分がイヤ。
『責め』っていう感じかな。」「過去が、全然、過去じゃないんです。
むしろ、今と過去がぐちゃぐちゃしてて、今、自分の身にかかっている感じ。」

臨床心理士は、猫を守れなかった自分への否定的な思いが、うつや頭痛につながっていると分析。
自分自身を責めるAさんの思考パターンを取り除く作業に取りかかりました。
臨床心理士
「仲の良い友達が、あなたと全く同じ環境で育ったとしましょう。
何て、そのお友達に言いますか?」
Aさん
「『怖いから、抵抗できないの当たり前やし』って言います。その猫、あなたのこと絶対に恨んでないから…。何も悪いことしてないやん。」
「自分は悪くない」と思えた瞬間、Aさんは、長年、苦しんできたトラウマから解放されました。Aさんは今、頭痛や、うつの症状も治まっています。
   Aさんは
「このトラウマって、一生抱えるんやろうなって思っていたので…。3か月か4か月じゃないですか。
ここまで見事に消化するとは思ってなかった。
これ、おお!終わった?みたいな。」

治療にあたった臨床心理士は、うつなど、個別の問題症状に対処するだけでなく、その根本にある、過去のトラウマにさかのぼって治療することが重要だといいます。
    臨床心理士 
「うつを診ているお医者さんの中でも、トラウマを扱えば良くなるかもと思ったら、リファー(専門家につなぐ)をするという形で、EMDRの治療者が果たせる役割が広がればいい。」
(リファレンス)
●トラウマ治療最前線 トラウマ処理とは?
トラウマ処理というのは、最近になって、進んできた治療法なものですから、まだ全部分かってないところがあるんですね。ただ、効くことは間違いありませんし、それから、効くということに関してのエビデンスも、だんだん出てきています。
トラウマ記憶というのは、普通の海馬記憶ですね、海馬にためられる記憶とは違うところにたまっているようなんですね。そして、ふだんは思い出すことができないんですけども、何か、引き金によってバーンと出てくるという、それを処理するわけですよね。(普通の記憶とは違うところに置かれているというのは、本人が思い出したくないから?)
いや、そうではなくて、思い出そうとしても、思い出せないのがトラウマ記憶ですね。(ただ、突然出てくる?)だそうです。(そして、それに苦しめられる?“フラッシュバック”のことです。)
突然、子どもが暴れだしたりするのもフラッシュバックですし、それから、親から言われた、「お前は生きていく価値がない」というのが、自分の考えとして浮かんでくるのもフラッシュバックです。
(治療を受けたあとも、本人はトラウマを忘れるわけではない?)
トラウマを忘れるわけではなくて、むしろ、今まで思い出そうと思っても、思い出せなかったものが、きちっと思い出せて、しかも、その思い出したものがバーンとならないという、距離が取れるんですね。それが、トラウマ処理のやり方です。
●従来の治療法とEMDRの違いは?
従来のトラウマ処理のやり方というのは、認知行動療法の遷延暴露(せんえんばくろ)というやり方です。
これは、トラウマになっている事柄を焦点化して、それを何度も何度も繰り返し言わせたり、聞かせたりするわけですね。
そして、距離を取るわけです。
これですと、まず第一に、すごくつらいんですね。
それから、2番目に、子どもであるとか、発達障害の場合には、焦点化すること自体が非常に難しいことがよくある。
しかし、EMDRの場合には、特にそれを焦点化しなくても、漠然と思い浮かべもらうだけで処理ができるというところが、大きなメリットです。(ことばにはしない?) しなくて結構です。
(自分のつらかった感情や風景を、思い浮かべる?) はい、そうです。(それで、右、左と目を動かす、その動作を何回ぐらい行うのか?)
1回に20から30ぐらい、これをやるんですけれども、眼球運動をしていくうちに、いろんな記憶が浮かんでくるんですね。今度、浮かんできたものを、またこうやって、それを手がかりに眼球運動していきます。
そうしますと、今まで非常に否定的な考えしか浮かんでこなかったのが、全体像が見えて、先ほどのあの女性のように、「自分のせいではなかった」という正しい認識になっていくわけです。
(EMDRを受けた前と、あとの脳の画像ですが、かなり大きな変化が起きますね)
この赤いところは、トラウマを思い出した時に興奮しているわけですね。こういう、むだな興奮が、処理のあとに一応、消えてるわけです。
こんな具合に、なぜ効いてるのか、まだはっきり分からないんですが、確実に効果があると。
●EMDR 治療時のフラッシュバック等への対策は?
いちばん最初に、安全な場所のマークをします。安全な場所っていうのをきちんと作れないと、トラウマというのは、つらいから、ふたをしてるわけで、ふたを開ける時というのは、非常にリスクがあるわけですね。
そのトラウマ処理をしたあと、必ず、もう1回ふたを閉める。これが安全な場所のマークですね。これをやってから、処理に入ります。
(自分にとって安心できる場所というのを、心に描けるようにするということ?)そうです。
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内山田 宏
Author: 内山田 宏
認定心理士

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